スポーツ自転車の代表格と言える、ロードバイク。かつては「ドロップハンドル」とともに「細いタイヤ」が象徴的で、まさに舗装路のためだけにあるような自転車でした。
しかし近年、だいぶ事情が変わってきています。太めのタイヤが装着可能で、ちょっとした未舗装路も走行できる「オールロードバイク(オールロード)」と呼ばれるものが増えてきたのです。
似たものとして、ここ7〜8年くらいでだいぶ浸透してきた「グラベルロードバイク(グラベルロード)」があります。文字通り、砂利道を駆け抜けるための自転車です。
ロードバイクとグラベルロードバイクの中間に、オールロードバイクが位置付けられるというイメージでしょうか。独立したカテゴリーというよりは、ロードバイクの一種と理解しておくとよいでしょう。
ロードバイクへの憧れはあるが、不安もある——タイヤが細くて不安定そう、扱いが難しそう、等——そんな人には、この「オールロード」と呼ばれるカテゴリーが、初めての1台としてぴったりです。
最近の私がメインで乗っている「TREK Domane AL 3 Disc」も、まさにそんなロードバイクのひとつと言えます。
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快適性が高い
オールロードと呼ばれるロードバイクは基本的に、長距離のサイクリング(ロングライド)を楽しめるように快適性が高められています。体に触れるパーツの快適性はもちろん、上体が起き気味のリラックスした乗車姿勢がより快適なサイクリングを可能にするのです。
その快適性は長距離だけでなく、経験が浅いビギナーがサイクリングを楽しむ上でも大きなメリットです。そして、単に「快適」というだけでなく、安定感が高い走りで「乗りやすい」のも特徴です。
走破性が高い
里山の荒れた舗装や、川沿いの未舗装路に遭遇したような場合でも、太めのタイヤを装着したオールロードなら迂回することなく走破できます。グラベルロードバイク的な使い方も可能です。
ユーティリティ性が高い
ロードバイクはキャリアもフェンダー(泥除け)も取り付けできない、できたとしても簡易的なものしか使えないものが少なくありません。しかしオールロードと呼ばれるものは、フェンダーの取り付けに対応しているケースがあるほか、アルミフレームで比較的安価なものであれば、フェンダーに加えてリアキャリアに対応しているものもあります。
競わなくても楽しめる
一般的にロードバイクというと、まだまだレースの世界を頂点とするストイックなイメージが強いのではないでしょうか。オールロードは、レース向けのロードバイクのようには尖ってはいないけれど、その分乗りやすく、マイペースでサイクリングを楽しむことができるスポーツ自転車です。
そういった自転車こそが、とっつきやすく、乗りやすく、そして続けやすいと思うのです。
「オールロード」の見分け方
オールロードと呼ばれるロードバイクは、広義のロードバイクのひとつです。また、グラベルロードとの境界も、少々あいまいです。オールロードとはこうだ!という、何か明確な定義が存在しているわけではありません。
それでも、だいたいの傾向はあります。重要な要素は、やはり「タイヤの太さ」でしょう。
本当にオンロードのことだけを考えた、いわば「純度の高いロードバイク」は、タイヤの太さが25C〜28Cといったものが使われます。フレーム側が許容する太さも、28C〜30Cあたりが多く、ロングライド向けとされるロードバイクで32C〜35Cくらいでしょうか。
オールロードと呼ばれるものになると、標準で32C程度の太さのタイヤを装備し、フレームが許容する太さは35C〜38Cくらいまでになります。それだけ、タイヤの選択肢が増えるということなのです。
これがグラベルロードになると、40C〜45Cといったタイヤも許容するフレームの作りになってきます。
ビギナーには扱いやすいアルミモデルがおすすめ
これからはじめる人であれば、アルミのフレームをもつオールロードがおすすめです。例えば下記のようなものがあります。
GIANT CONTEND AR 2
価格:220,000円(税込)
リンク: 2023 GIANT Bicycles | CONTEND AR 2
SPECIALIZED ALLEZ
価格:176,000円(税込)
リンク: ALLEZ MRN/SILDST/FLORED 56(56 サテンマルーン/シルバーダスト/フローレッド): バイク|スペシャライズドオンラインストア
TREK Domane AL 3 Disc
価格:197,890円(税込)
リンク: Domane AL 3 Disc – Trek Bikes (JP)
TREK Domane AL 3 Discは実際に私も所有していて、たとえばこんなシーンにも対応できます。参考になれば幸いです。
ただしこれらの製品たちはいずれも機械式ディスクブレーキ、つまりワイヤーで引くタイプのディスクブレーキを採用しています。できればもう少し予算を積んで、油圧式ディスクブレーキのものを選んだほうが、より満足度が上がるでしょう。