以前、WAGTAIL/CyclingEXが参加している「BRI-CHAN」にて「横浜水道みち」のサイクリング記事を掲載した際、少し道に迷っているうちに見逃してしまったスポットがあります。
どうしてもそれが見たくて、週末に訪ねてきました。

今回使った自転車は、SPECIALIZED(スペシャライズド)のMTB「CHISEL(チゼル)」です。そしてやってきたのは、相模原市緑区大島のとある場所。柵の向こうにある看板がやけに古めかしいですが、水道用地であることはすぐにわかります。
そしてこの柵が、ただの柵ではありません。

ごらんのとおり、古レールです。かなりペンキが塗り重ねられているようですが、ほとんど剥げてしまっています。

自転車との対比で、見る人が見れば「なるほどね」と思ってくれるのではないでしょうか。




道路と水道用地の境目に、約160mにわたってこのような柵が続いています。古レールの数は、立て看板の脚だったと思われるものも含めると、いい加減に数えた限りでは100本ほどでしょうか。
「横浜水道みちを行く」というブログでこの古レール群の存在を知ってから、ずっと見たいと思っていました(にも関わらず、前回見逃した)。
古レールを見て何をチェックするべきか? メジャーを持ってくればよかったのですが、そこまで気が回りませんでした。表面の状態がかなり悪いですが、刻印はあるだろうかと思いながらチェックしていると——。

「GHH」と書いてあるように、見えるんです。そしてGHHとは、ドイツの鉄鋼メーカーのことなんです。
この場合、レールを製造したのはドイツのルール工業地帯にあったG.H.H.(グーテホフヌングスヒュッテ)という会社です。G.H.H.はわが国の官営八幡製鉄所の設立に際し技術協力を行っていたことで知られています。
情報源: 学芸員コラム れきはく講座
明治時代の横浜に日本最初の近代水道が作られる際、資材運搬用としてトロッコ軌道が敷かれました。この古レールは、そのトロッコ軌道のものなのでしょうか。よそからわざわざ調達する理由もないので、可能性は高いと思うのですが……。
BRI-CHANに掲載した水道みちの記事は前編・後編があって、前編のほうでは横浜市旭区川井本町でモニュメント的に残されたレールを紹介しています。
川井本町のそれが、水道みちに唯一現存するレールということになっています。

では、この古レールは何なのだろうか——とても気になるものの、その場でわかることもありません。ひとしきり古レールを眺めたり触ったりしてから、CHISELで帰路についたのでした。
水道みちの記事は下記にまとまっています。