2023年12月に訪れた台北は、見事に雨が続いた。2日目、小雨くらいなら九份にでも行きたかったが、そんな気分ではなくなるほど降っている。思案した結果「乗り鉄」しつつ台中に行ってみることにした。

2日目、結構強く雨が降る。最初は雨の九份もよいのでは……などと思っていたが、さすがに天気が悪すぎた。朝は遅めに支度をして、とりあえず台北駅へ。

まあ、豆花でも食べながら考えるか……ということで、台北駅の駅ナカにある「小南門傳統豆花」に向かい、ピーナッツの入ったシンプルな豆花をいただく。そして「台鐡(在来線)で台中に行ってみるか!」と思いついた。

さっそく「自強号」(じきょうごう、列車名というより「特急」の意味)のチケットを自動券売機で購入した。
乗ったのは「PP(プッシュプル)自強号と呼ばれるタイプの、E1000型。



前後に流線型の電気機関車が配置され、間に客車が挟まっているタイプ。フランスのTGVなんかと同じだ。実は、人生初のプッシュプル列車。ちなみに機関車は南アフリカ製で、客車は韓国製とのこと。1996年から投入されているらしいが、機関車ははるかに古臭く見え、お世辞にもカッコイイとは言えない。
しかし、お客さんが乗るところは動力のない客車なので、当たり前だが静か。冷房がガンガンなので上着は必須だが、それ以外は快適そのものだ。乗車中は「そういえば台中には日本統治時代の旧駅舎が残ってるんだったな」などと、考えていた。
なお、PP自強号よりも古い世代の自強号は別の新型電車に置き換えられていて、そちらはスタイリッシュだ(写真は撮れなかった)。

さて、まだ真新しさを感じる台中の駅舎を出ると、左手に古いプラットホームと保存されている車両が見えた。

どんよりとして、ときおりザーッと雨も降るという冴えない状況だが、趣のある先代駅舎は2016年まで使われていたということもあってか現役感が残っている。

旧駅舎の中には活版工房が入居しているほか、運賃表などは現役当時のまま残されているようだった。そして旧ホームに出ると、いくつか車両が保存されていた。

こちらは、イギリス製で1978年から自強号に投入された、EMU100型電車。

そして、1969年から製造されたR100型ディーゼル機関車。GM-EMD製の、いかにもアメリカというデザインだ。

かつて「光華号」という種別の優等列車で使われていたDR2700型ディーゼルカーは、1966年から当時の東急車輛製造によって作られた。

保存されている2両のうち反対側は、引退時の黄色い顔。さっき現役舎から出たときに見えたのは、こちら側だ。中はショップになっていた。

そして、EMU100のほうもよく見るとカフェになっている。


カフェラテを飲みながら、しばらくぼんやり過ごす。相変わらず、雨は降ったり止んだりで、ときおり強く降る。


その後、有名スポット「宮原眼科」へ。
リンク: 宮原眼科 Miyahara
私が説明するまでもなく、日本統治時代の建物を活かした、パイナップルケーキが有名な「日出」のショップ。もちろん、帰国後には「パイナップルケーキ配りおじさん」となった。


台北への帰路は台湾新幹線(高鐡)を利用した。台鐡の台中駅から新烏日駅まで行き、隣接する高鐡台中駅から乗車する。この乗り換えが、少々面倒くさい。とはいえ台鐡台中駅から1時間半で台北に着いたので、速いのは確かなのだが。
台北から台鐡の台中までを台鐡(在来線)の「自強号」で行くと、所要2時間15分、375元。
台鐡の台中から新烏日まで出て、隣接する高鐡台中から台北まで高鐡(新幹線)に乗ると、所要1時間半ほどで、合計715元。乗り継ぎがよければ、1時間15分くらい。
ただし、台鐡には「普悠瑪号(プユマごう)」という優等列車もあって、本数が少ないものの台中〜台北を1時間40分で走り抜ける。しかも運賃は自強号と同じ375元。もしちょうどよい時間に普悠瑪号があるなら、そっちのほうがラクだろう。
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